SNSが「諸刃の剣」というのは誰もが納得するところだと思う。私自身はすごく活用しているというわけでもなく、プラマイ0くらいのところでお茶を濁している状態だ。
子供たちにはできるだけ遅く使い始めてほしいと思ってきたし、同年代の子供たちの中では我が子たちは遅い方だと思う。しかし、大学に進学する娘と息子の活用の仕方を見ていて、時代の違いを感じたので、それを紹介したい。
出会う前に、相手と相手の交流関係の情報を収集
3年前にフランスの大学に進学した娘。
学校が新入生用に用意したインスタのグループを使って、積極的に新入生の情報を収集していて驚いたのを覚えている。
「フランスのリヨンで、私と同じOIBの日本語をとった子が1人来るよ!」
「この子、シカゴの補習校の友達とつながってるんだけど、どうしてだろう?聞いてみよう。」
などと、夏休み中に9月に出会うことになる同級生の情報を収集していた娘。
私の大学時代を思えば、入学式で出会うまで誰も知らなかったし、その時も相手の外見や服装、話し方などから少しずつ出身県などを予想したり、会話しながら近づいていった。しかし、始まる前にすでにそれを知っているというのは、私にとってはとても奇妙な話だった。
娘は、自分と共通点がある人を見つけて、この人から話しかけてみようとか、安心感を持っている様子だった。
「でも考えてみれば怖い話だよね。何も隠せない時代というか。こういうのを見ると、ますますSNSで自分の個人情報を気軽に発信しちゃいけないとか思うよね。」
と話す私に、
「お母さん、わかってないなぁ。プライベートのアカウントと建前のアカウントと、みんな使い分けてるんだよ。」
とのこと。50手前になっても、どこでも素のままの私にとっては、10代で「外に見せる顔」と「内輪だけに見せていい顔」を使い分けているのも、ある意味すごいなと思ったのだった。
3年後の息子は、さらに進んだ友達の情報収集
6月末に進学先の決まった息子。7月には、大学で同級生となる人たちのプロフィールを食事の時にポロポロと話すようになった。
16歳で本を出している人がいる。
香港から来る日本人がいる。
哲学オリンピックで優勝した人がいる。
などなど。娘の時と同様、進学先の学校の上級生がインスタで新入生向けのグループを作り、そこで次々と自己紹介をしたり、つながりを作ったりしているようだ。ここまでは3年前に学習済みなので、驚かない。
「でも、そこにそんな詳しい自分の情報を書くの?」
という私の質問に、
「いや、そこからはLinkedIn。」
という。名前がわかったら、そこからその人のLinkedInに飛んで、さらに詳しいプロフィールを知るそうだ。
LinkedInは、何となく就職する頃に使いこなすものと思っていた私は、高校生が自分の経歴を他の人に見せ、つながることを目的に公表しているのに驚いたし、出会う前にそれを徹底的に調べるようになっているのにも驚いた。
情報収集から一歩進んでネットワーク活用
息子の場合はさらに一歩進んで、このネットワークを活用している。
欲しい情報を譲ってもらう
のだ。
「お母さんの数学の参考書買いたいんだけど。電子版で買おうと思うから、クレジットカードお願いします。」
と言いにきた息子。しかし、いざ買うという時になって、
「えー、100ユーロもするの!高い。紙版の方が安いかな。げ!紙の方が高いじゃん。でも紙版だったらその後売れるかなぁ。」
などという会話の後、
「そもそも、学校のネットワークで投げたら、誰か中古売ってくれるんじゃない?ちょっと待ってて。」
と、大学のネットワークになげかけた息子。
その日の夜には、結局、1個上の先輩がタダで電子版を譲ってくれたということで、無事ゲット。早速それで勉強を始めている。
私も大学生の時には先輩からテストの過去問とかをもらった記憶があるけど、入学前につながることはあり得なかったし、過去問をもらうまでの関係を作るのは結構大変だった。このスピード感、つながり方には舌を巻いた。
さらに驚いたことには、
息子の場合はさらに一歩進んで、このネットワークを活用している。
さらに驚いたことには、
同じ興味を持っている人とつながる こと
息子が携帯に向かっている時間が長くなっているので何をしているかと思っていると、
「大変大変。僕は興味を持っているプロジェクトを誰か一緒にやらないかなと思って、大学の同級生のネットワークに投げかけたら、12人もやりたいってすぐに名乗り出てきてくれて、1人でよかったんだけど…。返事するのはちょっと大変。でも、高校の時は、こういうこと投げかけてもあまり反応してくれる人がいなかったから、嬉しい。」
とのこと。
自分が実現したいことのために、こんな風にまだ知り合う前の人とどんどんつながっていくのだ。そういう若い人のしなやかさとスピード感に、つくづく時代の変化を感じたこの夏だった。
ということで、SNSのマイナス面があることは確かだ。しかし、だからといって子供に禁止していたら、こういうプラスの力も伸ばせない。諸刃の剣であることを念頭に置きつつ、一緒に歩んでいくしかないのだと思ったのだった。