バイリンガル=二つの言葉を自由に操れる になるために色々なプロセスがあると思うけれど、今年の夏、子供の頃から親の言葉を聞いて育つうちにバイリンガルに育った子供ってやっぱりすごい!と思う出来事が二つあった。
日本語能力試験1級に挑戦した息子
一つ目は、息子のこと。
フランスでは高2になる息子。そろそろ、大学受験に向けて、「学歴」を積極的に作らなくてはいけない。
通っている東京国際フランス学園では、英語フランス語のバイリンガルコースを選択したこともあって、今年は日本語は取らないという選択をした彼。
(取れなくはないのだけど、取るとすると第3言語ということになり、時間がとられる割には、簡単すぎてしまうので辞めたみたい)
そうすると、彼の学習歴の中に、日本語の能力を証明するものが全く無くなってしまうので、「日本語能力試験」を受けるというアイデアが浮上した。
実は、私は外国語として日本語を教えた経験がほとんどないので、日本語能力試験の形式も彼が受けるべき級も全くわからないところからスタート。
周囲では結構日本語ができる方でも2級あたりで苦労しているから、その辺りかなと思っていた。
ところがどっこい、1級の過去問1回目で合格点を叩き出した。
「読み」と「聞く」というパッシブの能力を測るテストとは言え、漢字は普通に使われているし、私でも、どっちだ?と迷う問題も多い中、一発で合格点とは!!!
一級って外国語として日本語検定を受ける人からすると、なかなかに高いハードルだよね?!
ということで、「バイリンガルに育つこと」って、すごいなと思った一件でした。
もちろん、ただそういう家庭で育てば、できるようになるというわけではない。補習校にも通わせていたし、日本に戻った時には体験入学もさせてもらってと親としてできることはやった。
でも、本人の意志ですごく頑張ったことがあるかといえば、彼についていえばNOだ。それでも、ここまでもって来れるのだというのが、驚きだった。
何かと、日本語に自信がない息子も、さすがに嬉しかったみたいで、ちょっと自信回復できてよかった。親としては、それが一番嬉しい。
20年ぶりに日本語を話す、元生徒
この夏は、私の初任校(リヨン国際学園)の当時の教え子と20年以上ぶりに再会することになった。
韓国人の奥さんとイギリスに住む彼は、息子さんたちのためにマルチリンガル教育に必死で取り組んでいる。そこでいろいろ話すうちに、インタビューに答えてくれないかという話になった。
もともとは英語でスピーチお願いされたんだけど、とてもそんなことはできないということで、彼が日本語で私にインタビューして翻訳をつけるという運びとなった。
そしてそのインタビュー。「20年以上、日常的に日本語を話してないから、僕の日本語は変だと思うけれど」と言う彼の言葉とは裏腹に、何の滞りもなく、インタビューは終わった。
20年も日常的に喋ってなくても、必要な時はこれだけコミニケーションが取れるのか!!!!というのが私の驚きだった。
彼自身も、日本語に関してはできないという思いが大きいようだけれども、自分自身も今回その凄さに気づいたんじゃないかな。
そのインタビューのリンクはこちら↓
https://www.youtube.com/watch?v=c79hxpzkmDo
2人の苦手意識の根幹はやっぱり漢字・・・
今回、2人は自分の日本語力を再認識するきっかけになったとは思っている。
だけども、なぜ今までそうならなかったか。2人に共通するのは
漢字への苦手意識
なのだ。漢字へのつまずきが、読み書きに対する億劫感を生み出すし、日本語全体ができないという苦手意識につながっている。
書けなくても、読めれば素晴らしい、読めなくても意味がわかれば素晴らしい。
海外で日本語教育ではここを大事に伝えるべきことなんだって、改めて思った。