フランスで過ごした夏休み。
8月に2日間、9月からフランスに進学する息子と2人きりで過ごした。末子がサマーキャンプに行っていたからだ。普通の母子は、こういう時どんなふうに時間を過ごすのだろう。私たちは私たちらしい、とてもいい時間を過ごせたと思う。
お互いに好きなことに没頭
私も息子も、フランスに来てから集中してやりたいことがあったので、1日の大半をそれぞれ好きなことに費やしていた。
私は、この1年勤務校や放課後クラブで実践した内容を整理し直し、ほかの人も使える形に体裁を整えていた。
息子は勉強をしていた。主に数学と情報科学。情報科学は高2の時に授業で取っていたが、高3で3つのうち2つに履修科目を絞らなくてはならず、これを外した。でも興味はあったようで、それを取った友達からパスワードをもらい、先生がGoogle Classroomに置いているスライドを見ながら独学していた。数学については、ネットにある有名なプレパ(フランス版の予備校)の問題を拾ってきて、ひたすら解いていた。時々「解けたぁーーー!」という叫びや「解けたけど、答えはもっと簡単に書いてある」という気の抜けた声が聞こえてくる。
私も息子も、傍目から見たら「なんで夏休みに仕事や勉強してるの?」と思われるかもしれない。でも、人に強制されてやっているわけではなく、楽しんでやっている。しかも、これを誰にも邪魔されずにできるのは今だけ。だから目一杯やっていた。至福の時。
ご飯時に今日学んだことを話す
食事の時間は、おいしいフランスの食材を味わいながら、今日学んだことを話し合った。
息子は「知ってた?世界のどこかに、必ず2カ所全く同じ温度、気圧の場所があるんだよ。すごくない?」などと、発見したことを計算式や図を書きながら話してくれる。でも数学だし、フランス語も混じるので、正直私にはさっぱりわからない。それでも本人はお構いなし。私が興味深そうに耳を傾けているので、気持ちよく話している。
息子のほうも一応、私の成果を聞いてくれる。
私「このゲーム、絶対大事だと思って何年もやってきたんだけど、ねらいをうまく説明できなかったの。でも今日できた!」
息子「具体的に言って」
そう言うので具体的に話したら、
息子「そんなの、お母さんがいつも言ってることじゃん。なんで今さらわかったって言うの?」
と言われたりする。あんまり家の仕事の話はしないんだけどなぁ。
何はともあれ、息子もそれなりに興味があるふりをして聞いてくれる。
そんなこんなで「お母さん、楽しそうだね」「あなたもね」という会話で締めて、お互いまた数時間、自分の世界に没頭する。
花嫁修行ならぬ、巣立ち修行をちょっと
夕方、流石に好きなことにも疲れてきた頃、巣立ち修行をやる。
もうすぐいなくなるから、本人の大好物を作ってあげたいと思うのが母親なのかもしれない。でも私は、自分の好きなものを作れるようになってほしいと思うので、本人の希望するものを一緒に作っている。
あとはアイロンのかけ方も復習。


巣立ちの親心
長女の時もそうだったけど、普段そんなにベタベタしているわけでもないのに、いざ巣立ちとなると心がざわざわして、とても寂しい。頭では、
どこでも好きなところで暮らせるように育てたのだから、巣立つ姿を喜ばなければいけない
と思っていても、なかなかそうはいかない。時々、不安な気持ちになる。周りからは「大丈夫だよ。1人でちゃんとやっていけるよ」と言われる。でも、実は息子のことは何も心配していない。心配なのは、いなくなったあと、自分がちゃんとやっていけるかどうかということ。情けない親だ。
それでも、この2日でその気持ちも少し整理できた気がする。
お互い好きなことをやって、時々交流
そんな距離感を我が家は、親子でも夫婦でも大事にしている。
息子は新しい場所でたくさんの人に出会い、たくさんの発見をするだろう。
私も負けないくらい、いろいろなことに挑戦して、新しい発見をしたい。
そして次に会ったとき、「最近、どんな楽しいことをしてるの?」「何か発見あった?」と、この2日の会話の続きをしたいと思う。