日仏カップルの我が家は、夫と「子供たちは二つの言語をきちんと使えるように育てる」ということを目標にしてきた。でも、この「きちんと」が意外に曲者で、他の国際結婚組、永住組の家族と話していても、その「きちんと」を明確に定義づけている人はほとんどいない。
一言にバイリンガルと言っても、大きく3つのレベルがあると言われている。
①プロフィシェント・バイリンガル
:両言語が平均的なモノリンガル並みに会話言語、学習言語能力を持つ
②パーシャル・バイリンガル
:一方の言語については、平均的なモノリンガルと同等の学習言語能力を持っているが、もう一方の言語については会話言語能力のみで学習言語能力はない、あっても低い
③リミテッド・バイリンガル
:どちらの言語も日常会話は問題ないが、どちらの言語でも大人が読むような本を読み、論理的に高度な議論をすることはできない
これまで見てきたたくさんの家族から考えると、②の「パーシャル・バイリンガル」が圧倒的に多い。
- 親が深く考えずに、国際カップルあるいは外国で子供を育てた場合、どんなに優秀な子でも、自然に①の「プロフィシエント・バイリンガル」にはならない。
- ①を目指したとしても、②までにしか行かない。
からである。最も避けないといけないのは、③の「リミテッド・バイリンガル」。子どもの天性の能力がバイリンガルを許容できないことを見定められず、子どもに二言語を中途半端に教えると危険。
うちは、①を目指して親子ともども頑張ってはいるものの、私たちのような家族を支える教育の仕組みが必要と、わが子が中学生になるころから強く思っている。日仏のように言語間距離が遠いバイリンガルを目指す時、子どもの負担が大きく、そのモチベーションを保持するため、その努力を正当に評価するための何かがないと続かないからである。特に、子どもが小学校5,6年生ころが岐路。なぜか?
- 現地の学校の勉強の負担が大きくなってくる
- 本人がやりたいこともはっきり見えてくる
- 日本で普通に生活している子にとっても、国語の内容は難しくなってくる
- 日常会話の中では使わない日本語、漢語がたくさん出てくる
- 子どもの自我が芽生えてきて、親の意志通りには動かなくなる
小学校5.6年まで、何とか子供をなだめたりすかしたりしながら、頑張ってこれた親はこの時点でもう一度、子どもがどこまで達しているか、この先どこを目指すかを明確にして、子どもとその目標を共有する必要がある。
フランスには、それをある程度可能にするしくみがあるので、次回、それを共有していきたい。
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