漢字がたのしくなる本ワーク④
【お勧めの人】
- 5年生以上の漢字にもチャレンジしたい子ども。
- 書けなくても読める漢字を増やしたい子ども。
- 子どもの音読や漢字学習を手伝いながら、応用力がつくコメントをしてあげたい親
- マンネリ化している漢字学習にさし色を入れるヒントが欲しい先生。
【お勧めのレベル】
5 / 5(1:やめた方がいい 3:可もなく不可もなく 5:強く勧める)
【主な内容】
一言で言うと…
形成文字の「音」で遊びながら、その仕組みもわかっちゃお!
という本。
漢字がもつ「意味」と「音」の「音」の部分に焦点を当てて、漢字の80%以上を占める形声文字の仕組みを理解しようと次のステップで試みている。
① 漢字の「音」の世界へ誘う
② 形成文字の音記号を学ぶ
③ 部首+音記号の=形成文字の構造を身に着ける
④ 音記号の性質を理解する
以下、詳しい内容と マルチリンガル漢字指導法研究会が対象とする海外で日本語を学ぶ子ども」を掛け合わせたときの所見(⇒の後)を。
漢字の音の世界へ誘う
「形声文字を理解するには、漢字の音を手掛かりにしなければならない」
けれど、いわゆる中国語から来たこの「音」。日本人の私たちにも何の意味もないので、無味乾燥な暗記になりがち。
で、この本では、次の二つのステップで、遊び感覚で覚えることにしている。
(1)漢字のお経
(2)音の種類の仲間探し
⇒「3年生の漢字の壁」の原因の一つは、
漢字の音訓を同時に学びはじめることにある
と思う。日本で暮らす子ですらそうなのだから、海外で学ぶ子は言わずもがな。
これを「漢字のお経」で、ぽくぽくやりながら覚えるなんて斬新!
ワークでは、1から3年生の漢字で作られたお経があるのだけど、一つの学年だけ紹介して、後は、子供が音読みを50音順に並べ替えて作ったら、より「音」に注目することになっていいかも。
音の仲間探しは、「漢字は(たったの)10種類の音でできていることを子供たちが理解できるように」作られているようだが、別にこれは理解しなくてもいいかな~。
こういう作業を通して、音に着目させるということが目的ならいいけど。
② 形成文字の音記号を学ぶ
「同音の漢字の中から同形部分を抜き出す」「同じ音記号を持った漢字から、音記号を抜き出す」などのワークを通して、形声文字の音記号を学べるようになっている。
⇒漢字の音と形に着目させる授業ってこれまで見たことがないけど、「書きより読み優先」の「海外育ちの子供」には、とても大事なポイント!読めれば辞書も引けるし!
③ 部首+音記号の=形成文字の構造を身に着ける
3巻で学んだことと総合して、上記の公式をワークを解きながら、整理。
⇒漢字苦手になりがちな子=理系で本になかなか手が伸びない子(我が息子!)には、こういう論理的な理解は向いている気がする。
④ 音記号の性質を理解する
形声文字のの音記号を的確に捉えるために理解しておく性質が3つ。
(1)音記号の位置は一定ではない
(2)ふくらんだ音記号もある
(3)音記号の音が変わることもある
⇒こんな風に漢字を俯瞰する機会ってなかったけど、とにかく覚えろ、習うより慣れろではなくて、こんな風にきちんと仕組みを教えてあげたら、効率よく少ないインプットで漢字を学ぶ「海外育ちの子供」にはいいと思う。
オマケ、↓のプリントもいい!
⇒道村先生の本で紹介されていたけど、「コウ」と音読みする漢字が一番多いとか…それにたじろがずに、こんな風にとことん向き合い、
作文仕立て
作文に合う絵をつける
プリントがいいな~
最後に…長年、「形声文字」の教え方に悩んできた私としては、こんなアプローチがあったかと、目からうろこ!の一冊だった。こんな風にスモールステップを踏めば、少しは「3年生の漢字の壁」が低くなるのか?それはやってみないとわからない。だけど、この手順で全部やらなくても、こういう
フレームワークを親や先生が持っているだけでも、声掛けが変わってくる
と思う。漢字の海の中でおぼれそうな子供に息継ぎや背面浮きを教えてあげたい。
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