by kaori horike
研究会の7月の定例会は、夏休み恒例の?座談会だった。ざっくばらんに話す中で、改めてこれまで歩んできた道のりを思い返す、また新たに目指す方向が見えてきた。備忘録として、書き残しておきたい。忙しい中で、時間を作って参加してくださったメンバーの皆様に本当に感謝!
目次
タイで新しく補習校と継承語教室の間のような教室を立ち上げようとしてるメンバーからの質問への経験豊富なメンバーが回答してくれた。それを聞きながら、改めて補習校と継承語教室のそれぞれの違い、悩み、強みと弱みをはっきりわかった。
この研究会には補習校の先生もいらっしゃるけれど、もともと補習校のやり方に違和感を感じて継承語教室を立ち上げたという先生も少なくない。なので、補習校に対する厳しい見方が少なからずある。それでも、定期的に、目標を持って、教科書を使って行われる教育の良さというものもあることをメンバーの方々が感じているようだった。どちらにしても
親との連携
子どものモチベーションをどう引き出すか
というのは永遠のテーマなんだと感じた。
日本語と国語の違いは、この研究会の原点ではあるけれど、なかなか国語として学んできた私たち研究会のメンバーや保護者が、その縛りから逃れられないのもまた事実だ。
漢字は読めればい
何度も繰り返し書くことは必要ない
と分かっていても、休み期間中、日本の学校に入り、繰り返しドリル学習をする日本の子どもたちを見ると、気持ちが揺らぐ。
高校生の娘さんを持つメンバーの話から、改めて子供を長いスパンで見ていく必要性も感じた。どうしても、親も先生も近視眼的に子どもを見てしまい、迷ったり焦ったりするけれども、トータルで子どもが日本語が好き、漢字が好きという気持ちになってくれば、後はきっかけさえあれば子どもが自然に日本語を学び出す時が来るのだ。
日本語や漢字を嫌いにさせないこと
楽しい書くとなる体験を生み出すこと
種火を決してたやさないように、時は息を吹き込んであげることが親や先生の役割なんだと改めて。
お孫さんへの日本語教育にチャレンジしようと研究会に参加してくださっている方の話もとても興味深かった。自分の子どもを教えている時にはなかなか持てないゆとり、余裕を感じる一方、自分の思いだけで、日本語押し付けるわけにはいかないはがゆさのようなものを感じた。うちはまだ長女がこれから大学進学というところなので、まだ先の話だが、一歩先を行く先輩たちの話はすごく勉強になった。
こんな風に色々な世代の人が集まっているのは、この研究会の強みかもしれない!
ミチムラ式は「書き」に効く!というのは事実だけれども、目指してるのはそこではない。むしろ書きなんてどうでもいいからさっさと効率よく学んでしまって、その先にある漢字の奥深さ、楽しさ、語彙(熟語)をどんどん増やしていく楽しさを子どもたちや指導者に伝えたい
という道村親子の話に、その通りだと思いつつ、少し反省した。
私自身はそれをわかっているつもりだけれども、いきなり、今もっている目の前にいる子どもや保護者にそう言っても、全くぴんとこないので、最初の1歩として「書きに効く」というキャッチコピーでミチムラ式を紹介することが多いからだ。もう少し紹介の仕方を考えないといけない。
ミチムラ式を考案した道村静江先生とそれに最新の技術を吹き込み、飛躍的に改良した息子さん友晴さん。
「これからの時代、もう書く必要なんてなくなる。漢字を認識するために基本漢字だけではしっかり学ぶ必要があるが、後は選択するだけ。」
という話にブンブン頭を振りながら、
常にこれからを見据えながら、何をとって何をしてるか考え続けないといけない
と改めて思った
研究会で紹介される漢字指導の実践を他の学会で発表することを勧めてくれるメンバーもいた。実は、これはここ1年半位ずっと私が考えてることでもある。少しずつ、研究会の学びが蓄積されてきて、発信する時期だなと感じているからだ。少しずつ実行に移しているつもりではいる。2021年には「漢字リズム音読」のセミナーという形で発信したし、2022年には、私個人ではユーデミーというプラットフォームで動画教材を売り出すことを試みたり、それぞれのメンバーもいろんな研究会で発表したり、小さなセミナーや座談会という形で発信を試みている。今回、メンバーが紹介してくださった、BMCN などの学会での発表も少しずつ視野に入れて動いていきたいなと思っている。
「自分の中で漢字学習に対する軸ができた」
この研究会設立当初から見てくれるメンバーが言ってくれた一言。これは私自身が最も感じている事でもあり、ファシリテーターとして目指してることでもあるので、涙が出るほど嬉しかった。
最初は、ノーハウを学ぶことから始めたっていいと思う。なんてったって目の前の子どもたちに今すぐ何かしてあげなくちゃいけないのだから。でも、ノーハウだけじゃなくて少しずつ自分の中で軸を作ることが大事。これさえあれば、場所が変わっても目の前の子どもが代わっても、臨機応変に対処できるからだ。
最後に、道村親子のコントのような(笑)会話を聞きながら思ったこと。
教育とは結果をすぐに求められないもの。
因果関係がハッキリしないもの。
なんだと。
「小学校からは自分で勉強していた」
と言う息子さんの友晴さん。私は間違いなく道村先生はいろんなことをいろいろな形で息子さんに日々の生活の中で植え付けていたと思うけれども、当の本人はほとんどそれを意識する事はない。
それでいいんだと思う。むしろ、その方がいいのかもしれない。いずれにしろ、あらゆる働きかけが、血となり肉となったことは、今の友晴さんの姿からしっかり感じ取ることができるのだから。
私たちはどうしても結果をなるべく早くはっきり見たいと思ってしまう。だから、漢字に関して言えば、漢字テストではっきりと成長を見たいと思ってしまう。でも、そこで見えるのは本当に本当にわずかな漢字の力なのだ。そのことを改めて心に刻んでまた次の一歩歩んでいきたいと思った座談会だった。