3年生の末っ子、この1年は、自学で漢字を勉強してきて、ようやく3年生の漢字終了。これから復習、漢字検定に向けての準備に取り掛かるというところである。この復習の段階で、色々と気づきを得られたので、書き残しておきたい。
3年生に入ってからの漢字の学習方法
まずは、この一年、どのように、漢字を勉強してきたかを簡単に説明しておく。
次のようなステップで漢字の自学のルーティーンを作ってあげた。
① 「リズム音読」で読みだけをマスター
3月から5月にかけて、小野ふじ子先生の「漢字リズム音読」を唱えて、新出漢字を8割方、読めるようにした。
②漢字の書きを少しずつマスター
6月から12月、約6ヶ月かけて、Z会の漢字ノートに沿って、ミチムラ式eブックを使いながら、1つずつ漢字を丁寧に学んでいく。
平均、1日2ー3個をミチムラ式eブックで調べ、漢字の唱え方、読み方、熟語を調べて、自分でリズム音読を作ってノートに書く。
「いくつか貯まると、Z会の問題を解く」みたいなペースで淡々とこなしていった。
この時点で、読みは大体できているので、随分気持ち的に助けられているように見えた。
末っ子は、通っているフレンチスクールが休みの時は、日本の学校に通っているのだけど、そこでも、読みがすでにできるだけで、クラスの漢字学習にも何とかついて行って、楽しく参加できている様子だった。
③ ミチムラ式漢字カードで、3年生の漢字を総復習
1月から1ヵ月かけて、ミチムラ式カードで次のように一通り復習した。
まずは、読み。漢字を見て、「漢字のタイトル」(漢字の音読みと訓読みが熟語と一緒に記されている)をどんどん読んでいく。その時、「すべての読みができる漢字」「半分の読みができる漢字」「全く読めない漢字」で分けていく。そして、全てが「読める漢字」の山に行くように、少しずつ勉強を積み重ねる。それができたら次は書き。これは、本人と相談して、1日20枚ずつと決めて、まずは、漢字タイトルを見て、漢字の書きを口で唱えることから始め、実際にノートに書いていく。どうしても書けなかったら、3回練習するというような方法だ。最初だけやり方を手伝い、あとは、自主学習で進めた。
復習の段階で気づいた「漢字習得のステップ」
末子の子の学習過程を横で見ながら改めて気づいたこと。それは、これまで、
意味理解→読める→書ける
のステップで漢字学習が進むと頭で理解していたんだけども、この最初のステップ「意味理解ができる」と言う段階をあまり評価していなかったこと。理由は簡単、これをほとんどテストで測れないというか、測ることをしないから。具体的に説明すると・・・
末っ子のミチムラ式カードを使った「読み」の結果は次のようなものだった。
「すべての読みができる漢字」75こ
「半分の読みができる漢字」 87こ
「全く読めない漢字」 36こ
もっと読みができると思っていたので、意外に感じて何が読めなかったのか見てみると、こんな間違いだった。
① 熟語の別の言い方で読んでしまう。
「界」の字を見て「セカイの セ」と読む。すでに「世界」という言葉すでに頭の中にあることがわかる。
②訓読みは読めるけど、音読みの語彙を元々知らないのでなかなか読めない。
「投」で「な_げる」は読めても、「投手のトウ」はそもそも「投手」という言葉を知らないからなかなか入らない。
③ 漢字の意味はわかっているが、言い慣れない読み方がわからない。
「育」は「体育」を知っているから「イク」は読める。でも、「作るみたいな意味なんだけど・・・」と言いつつ、「そだ_てる」がどうしても出てこない。これも語彙自体を知らない(自分から使う言葉ではまだない)が読めない大きな要因だ。
つまり、読みのテストをしてしまえば全て×になるけれど、どれも漢字の意味はよくわかっていて、看板や物語の中で出てくれば、その知識は充分活用できるわけだ。改めてテストで測り切れない力を感じたし、そこを1つのステップとして教える側は認識して、子供によってはそこを評価してあげることも大事だなと感じた。
3年生の漢字の難しさ
「読み」で意外に引っかかったので、「書き」はどうなるかなと思っていたら、こちらは、するすると進んだ。おそらく、基本漢字をしっかり学んでいること、ミチムラ式の分解合成の考え方を体得できていることで、3年生の今は、漢字を書く事はそんなに難しくないようだ。
それよりも、語彙を知らないから、漢字が思いつかない。どうしてもバイリンガルの子供たちは、絶対的に日本語を浴びている量が少ないため、ここで引っかかるんだと思う。もちろん、バイリンガルの子供たちでなくても、読書量や普段の会話が少ない子達はここでつまずく。
つまり、3年生の漢字の壁は、読み。
書きは、1、2年で基本をしっかり押さえておけば、難しくない。
と改めて、実感した。
5.6年は、ますます扱う言葉が抽象的、漢語になってくるので、この読みの問題がさらに深刻になっていくことが予想される。
それに加えて同音異漢字が増えてくるので、どの漢字をどれに当てはめるのかで、難しさが増していく。
それぞれの段階で打っておくべき布石
今月は、「石井式」(門下生の三輪充子先生)「素読」(国語ワークの松田雄一先生)「ミチムラ式」(漢字クラウド 道村静江先生、友晴先生)「リズム音読」(小野ふじ子先生)とお話しする機会に恵まれた。(有難すぎる!!)皆さんが異口同音に仰る「幼いときは、書きより読みを優先して教えるべき」という理由は今日の話に通じるのだろう。読みさえできれば、早くから漢字の世界が広がるし、この小3あたりのつまずきに布石を打つことができるのだ。
ただ、この「漢字の読み」に挑む教材が意外とないのだ。だから「リズム音読」をふじ子先生から紹介されたとき飛びついた!この4拍子に乗って、唱えるという単純さ、声を出すという楽しさが、子供にはとにかくウケる。でも、やはり単純に丸覚えではなくて、語彙と意味を結びつけることで習得率はぐんと伸びる。それを今、クラスで実践中なので、これはまた別の機会に書きたい。
では、「書く」は全く必要ないかといえば、小学校1、2年生では、ちょっと時間をかけて、丁寧にやった方がいいと思う。1.2年生の子供たちは書くのが好きだし、比較的時間があるし、今回の我が家の末っ子の事例から分かるように、ここで「書き」の基本をマスターしておけば、あとは、組み合わせなので、楽なもんだからだ。この辺の感覚は、たくさんの子供、いくつかの学年を教えないと、はっきりとわからない。私もまだうまく言語化できない。でも、また一つ、糸口をつかめた気はしている。