最近嬉しかったこと。
私が勤務している東京国際フランス学園の日本語セクションの授業で、子供が言ってくれたこと。
「このクラスに入ってから、時々、行く日本の学校の授業がすごくよくわかるし、漢字がとても楽になった。おかしいんだよ。だって、このクラスでは4年生をやってて、日本の小学校では5年生やってるんだけど、なんていうか覚えるのが超簡単なんだよ。」
「そうそう!そうなんだよ!」
と他の子も賛同してくれた。
私の教えてるクラスは、フランス系インターナショナルスクールのいわゆる「イマージョンクラス」で、週の約半分近くの授業を日本語で勉強している。また、クラスの子供たちの何人かは、「ダブルスクール」と言って、日本の公立学校にも在籍させてもらって、土曜日や長期の休み期間に、そちらの学校に通わせてもらっている。
多くの場合は、保護者は、日本語力を伸ばすというよりかは、日本の文化や友達を作って欲しいという願いで、日本の学校にも通わせている。ただ、その場合、大体3、4年生位から授業についていくのが難しくなって、疎遠になって辞めてしまうケースが多い。
今回のこのこの発言で、このコースの目的では無いけれども、そのような結果を招けた事はとても嬉しく思った。
骨太の漢字力とは
なぜ、4年生の漢字をやっているのに、5年生の漢字が簡単と感じたか?
それは、私が
4年生の漢字を覚えることを目的として授業していないからだ
と思う。3年生から持ち始めたこの子供達に、3年生の時は、漢字の原理原則を教えることに注力し、4年生からは、漢熟語の仕組みを理解することに重点を置いているからだ。
漢字の原理原則さえ理解すれば、新しい漢字の形を覚えるのは簡単で、するする入ってくる。
また、熟語の仕組みを理解すれば、理科や社会で出てくる大量の熟語も、自分の持っている知識で、ある程度予測可能で、授業の内容を完璧にとまでは行かないけれど、意味は十分にわかるからだ。
これが私が目指した骨太の漢字力と改めて思った。
なぜマルチリンガル漢字研究会を作ったんだっけ?
改めてこの原点に立ち返る機会となった。
直接の動機は、小学校5年生で「もう漢字は無理やりたくない」といった息子をなんとかしたくて、何もできない自分が歯がゆくて作った研究会。
漢字のせいで日本語を諦めていく・・・そんな海外で育つ子供たちをたくさん見ていたから、それも後押しになった。
研究会ももうすぐ丸5年。ようやくそれを乗り越える術を見つけつつある。
「漢字の原理原則ってなあに?」
「漢熟語の仕組みってなあに?」
をわかりやすく言語化して、保護者や他の先生方にサクッと伝えて、唸らせることが次の目標!