4月の下旬に「漢字リズム音読フォローアップセミナー」を予定している。何をフォローアップするかと言うと、2021年の4月に行ったセミナーである。なんと3年前!
このセミナー、今でも動画版を販売しているが、とても好評。ただ、このセミナー後、リズム音読をうまく使いこなしてくださっている方がいる反面、うまくいかずに投げ出してしまっている、あるいはどう使えばいいかもがいている人たちが一定数いる。私自身、今は大いに使いこなしているけれども、思い返してみれば、最初からうまくいったわけではなく、何度かバグっていた時期がある。
そこで、その経験を生かして、今つまずいている方々の手助けができないかなぁと思ったのがきっかけである。
リズム音読、私の躓き
私がバグっ手1カ所でぐるぐる回っていた時を思い出すと全部で3回ある。
①「教則本」のPDF版を購入して、全てを印刷ししたものの、500ページ以上あるリズム音読を前に固まる。
教則本は、学年ごと漢字こと、音節ごとにそれぞれ音読み訓読みと細かく分類されているのだけれども、はじめはどこから始めればいいのか、途方にくれたのを覚えている。(第1章は、音訓が実際には混ざっている)
本の性質上、目次が長いので、全体像がつかめないというのも大きく影響したと思う。それに加えて、漢字の読みに注目する教材っていうのを使ったことがなかったので、ほんとにどう使ったらいいのか、たたずんでしまった。
この話はマルチリンガル漢字指導法研究会のメンバーからも、何回か聞いたので、おそらくここで脱落してしまう人がかなりいるのではないかと。
②我が子が最初は良かったけれども、すぐに難しくなって、やりたがらなくなった。
とは言え、気を取り直して、まずは自分の子供からと思って、当時小学校1年生だった娘と早速やることにした。1年生なので、当然1ページ目から順々にやることにした。最初、娘は、物珍しさもあって、喜んでやっていたのだが、すぐに、難しい言葉が増えてきたり、量が多くなってきたりすると、覚えられないし、すらすら読めないしで、やるのを渋るようになった。
一対一だから難しいのかなと思って、当時同世代のお子さんを持つ2人の友人も誘って、ふじ子さん直々にオンライン指導を受けることにしてみた。ふじ子さんは上手にイラストや、そこに出てくる語彙から話題を膨らまして授業を進めてくださったこともあり、私と娘のリズム音読プロジェクトは少し息を吹き替えした。ただ、その時一緒だった子2人がよくできる、一つ上のお子さんだったこともあって、うちの娘自体はいつも落ちこぼれな気分でいたようだ。3人で時間を合わせるのもずっと厳しかったので、3ヶ月くらいで終了、また親子で取り組むことになる。それでも、ふじこさんの授業を通して学んだ5つのこと
うまくイラストを利用する。
ルビなしにこだわらない
定着にこだわりすぎない。
練習したことを可視化する。(漢字貯金表に色塗りをしていく」
1回の量を子供の様子を見て半分に減らす。
を参考にして取り組むことにした。
③クラスで使おうとしたけれども、教則本では探しにくいこと、量が多すぎること。
授業では新出漢字の音読み訓読みを同時に教えていかなくてはいけないのだけれども、教則本では基本的に音読み訓読みが別々に分かれているので(実際には第1章は、訓を中心に音も混ざっている)、いちいち探して打ち直して子供たちに提示しなくてはならない。それが当時の私の状況では負担が多すぎだったので、年間を通して使うのは諦めざるを得なかった。代わりに「着」のように読み方が多い漢字だけを選んで、リズム音読シートを作り、単発で子供たちに提示してみた。とても人気のある学習だったので、いつかは年間を通して取り上げたいなぁと思っていた。
④学校外でやり始めた「漢字倶楽部」で使いたかったけれど・・・
学校では色々と制約があるので、純粋に漢字を楽しみながらその原理原則を学び、骨太な漢字基礎力をつけられないかなとも思って、学校外で漢字倶楽部というのを当時作り始めていた。その一つのアクテビティにこのリズム音読を!と思っていたものの、教則本だと、学年に分かれていることがかえって、やりにくさ、硬さを出していて、うーーーんと思っていた。
こんな感じで試行錯誤を繰り返していた。なぜそれでも諦めなかったかと言うと、一言で言うと
教員の勘
すべての子供に当てはまるとは言わないけれども、リズム音読を取り上げたときの子供たちの目の輝き、自然に体を揺らして唱える姿を見ると、絶対にこれは救世主になるという思いがあった。そして、3、4年生位でつまずき始める漢語の嵐に大きな布石となる他のアイデアがどうしても思い浮かばなかったこともある。
リズム音読、私なりの使いこなし方
①自分の子供は「先取り学習」に使うと割り切る
さて、我が娘に関しては、途中から、1年中やるよりも、「先取りで学習」として使うと決めて、学年が始まるちょっと前(3月から4月)に集中的にやり、学校で学んだときに
この漢字、見たことがある
いくつかは読み方を知ってる
というところに目標を置くことにした。
1年中ずっとだと一対一だとどうしても飽きが来てしまうのだけれども、ある一定期間、しかも、漢字貯金表に色を塗っているので、ゴールもはっきりしていて頑張れた。これを全部ぬり終わったら、パフェを食べに行くなど、にんじんをぶら下げつつやったらうまくいった。
3月終わりも近くなった先日、5年生になる娘のために、5年生用の漢字貯金表を印刷していたら、「あ、その季節か」と娘がボソリ。思わず笑ってしまった。娘にとっては、リズム音読が学年が変わる「風物詩」になってるんだと。
毎年やるごとに覚えるのが早くなってるのは感じていたけれども、今年は本当に驚いた。5回読めばすぐにルビなしで読めるようになったし、1日に平気で2、3ページ進むことができるのだ。定着に重きは置いていないのだけれども、試しにに前のページを読ませてみたらほとんど読める!5年生まで続けると、こんなに楽になるものかと!本人も驚いていて、簡単なので嫌がるどころかどんどんやるようになった。大体わからない言葉が、1つのページに1、2箇ある位なので、それについて一緒に文を作ったり話したりして、ほとんど1人で進んでいく。
1年生の時、まだまだルビのひらがなやカタカナを早く読むことだって大変だったんだろうなぁと思う。なので、この時期は無理せず、一章だけとかにしてあげればよかったかなぁと。
なので、1年生で躓いている〜進みが遅い〜定着しない〜と悩んでいる方には、自信を持って言いたい!
あ、た、り、ま、え。
焦らず、弛まず、(時には期間限定でいいので)続けていると、早くなる!
②クラスでは自作のリズム音読
昨年より、日仏イマージョンクラスを持つことができたので、もう少し国語の時間も増えたこともあって、自作でリズムを作り、年間通して扱うことに決めた。
最初は、教則本からピックアップできないかなぁと考えたのだけれども、3つの点で自作することにした。
1つの漢字につき1つのリズムにしたかった。(多すぎると子供の負担が大きすぎ)
目の前の子供にカスタマイズした熟語を選びたかった。
難しくなる熟語の理解を助けるためには、イラストや写真が有効なのはわかったので、道村式eブックの写真を有効に使いたかった。(写真が紹介されている熟語を優先的にリズム音読に組み込む)
漢字指導だけをやってるわけではないので、限られた教材準備の時間と効果を天秤にかけながらやった結果でもある。でも子供たちは漢字リズム音読が大好きで、漢字の時間はとても楽しい時間となった。
「子供たちが楽しんでる時は何か学んでいる時」という私のモットーを証明するかのように、年度末に行った漢字検定試験の過去問では、読みや送り仮名の設問はほぼ全問、初回から正解した。
問題を解きながら、子供たちの方からうひょうひょと「わかるわかる!リズム音読のおかげでわかる。先生ありがとう」という声があちこちから上がったほどだ。
③ 漢字倶楽部では「行事編」を月一程度で
いろいろな学年、レベルの子供たち、みんなが楽しめるリズム音読・・・と考えていて思いついたのが「行事編」。
日本の行事を学びながら、漢字の読みをマスターできたら、ダブルにお得!そんなことをふじ子さんに話したら、またせっせせっせと作ってくださった。そしたらこれが大当たり!これについては、私のユーデミーの教材で紹介しているので、よかったら!
でも、これもちょっとしたコツがいる。それは、同じ教材を別の同僚が授業してくれている時に気づいた。教材の差し出し方で、子供の反応が全く違うのだ。簡単にいうと、
漢字を全面に押し出さず、
絵を見て言葉を理解して、
その上に漢字をそっと載せるというイメージ
伝わるかなー。
フォローアップセミナーが楽しみ。
というわけで、私も一直線で、ここまで進んできたわけでは無いけれども、それなりに使いこなせるようになったので、それをこれからトライする、あるいは今、行き詰まっている皆さんに上手に伝えられたらなぁと思っている。
それに今回は、前回のセミナーにはなかった
漢字リズム音読自作のコツ
についてふじ子さん直々にご指導してくれる予定なので、「自己流」で作ってた、私のリズムを見直す機会になればと思っている。
もし興味を持たれて、参加したいなぁと思ったら、お申し込みはこちらから
https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSc1AmBy5jyizVphBO6C6hwAbn8X3QJzmVhUSno5_XtgnzVMPw/viewform?usp=sharing
日本時間、4月26日夜9時からです!