漢字には、日本の読み方である訓読みと、中国から伝わってきた読み方である音読みの2つがあるのは皆さんご存知の通り。日本で育っていれば、日常生活でこの2つを同時にいろんな言葉から吸収していくので、気づけばこんなことを意識もせずに使い分けている。でも海外で育つ子供にはかなり難しい。
「どうして、1つの漢字に2つ以上の読み方があるのか」
しかも、同じ音の漢字がいくつも出てくると、どれにどれを当てはめていいのか、途方に暮れてしまう。
それで、
① 早い時期から音訓の両方を子供たちに同時に教える。
②音読みはカタカナで、訓読みはひらがなでふりがなを振るようにして、両者の違いを体得するように教える。
工夫が必要とマルチリンガル漢字指導法研究会では考えてきた。
でも、2つ目については、本当に必要かと研究からもよく質問が出ていて、みんなで考えてはいたのだけれども、しっくり来なかった。
日本固有の言葉と中国から来た言葉を区別できた方がいい。
漢字検定で出題されるから。
などが、みんなから出た意見だったけど、うーーん。
一つ目は、それはそうだけど、そもそも、海外育ちだと、欧米から入ってカタカナで書く言葉と漢字で書く言葉の区別がつきにくいのに、漢語と和語の違いをそこまで意識して教える必要あるのか?と思った。
二つ目については、いやそもそも、どうして、漢字検定ではそれに価値があると思っているから出題しているわけで、それが何でかなんだよなぁと。
それが、この前、末っ子と話していて、なるほど、そういうこと!と腑に落ちたので、ここでシェアしたい。
熟語をとっさに音読みで
末っ子も、今年の4月で5年生になった。実はこの1年は東京国際フランス学園を休学して、日本の学校に1年間入れていた。この娘が先日、ぽろっと言った。
「社会の授業で、順番に音読したりするんだけど、みんな、なんでこんな間違いするんだろう?っていう読み違いをするんだよね」
「例えば、どんな?」
「北部のことを『きたべ』言うの。普通、音読みで読むってすぐわかると思うんだけど?」
5年生の社会科となると、漢熟語のオンパレードになってくる。それを初見でどのぐらい正確に読むかは、これまでの国語教育の集大成とも言える。娘の話をそのまま受けると、みんなが驚くほど、すべての漢字を訓読みで読み、そのたびに先生が言い直すので、全然内容が頭に入ってこないのだと言う。
音訓読みとっさに分けられるための漢字勉強法
漢字テストで100点を取ることよりも、こういうことの方が真の漢字力なんだと思う。娘はなんで自分が自然できるのか、なぜ他の人ができないのかわからない。私自身振り返ってみて思うのは、
リズム音読で体得していたこと
音訓読みを常に分けて学び、熟語探しをしていたこと
が効いたのではないか。
というわけで、どれが音読みでどれが訓読みかを分けて学んでいく必要性をこれまでも感じてきてはいたのだけども、その理由の一つがはっきりわかった。嬉しい体験だった。
答えは、
初見の熟語をとっさに音訓を判断して正しく読む力をつけるため
なのだ。
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