ふう。ようやく成績をつけ終えた!!
完全に頭が休みモードに入る前に、今年一年の漢字指導をまず振り返っておこうと思う。
末っ子(6年生)と漢字
1年間日本の学校に転入していた末っ子だが、去年の9月から東京国際フランス学園に戻り、フランス式では中学生。SIJという日本語が最も多いコースを専攻して過ごした1年だった。漢字は、学校で定期的にテストをしてくださるので、それに乗っかってコツコツと勉強していた。
6月に学校が漢字検定までアレンジしてくださったので、5年生修了レベルの6級を受けている。
まだ結果は出ていないけれど、過去問をやらせたところ、
157点 → 170点 → 178点
と、合格ラインと言われている160点を2回目でクリアできた!
この年齢を海外で過ごした上の二人が使っていた問題集でもあるので、書き込みもあり、いろいろ思い出していたのだが、これ、かなり、すごい。
上の二人も定期的に漢字学習をしていたけれど、年度末に漢検の過去問をやらせると50〜60%しかできなかったし、生徒たちもそんなものだ。
この歳になると、漢字にそれほど時間が割けないのだけど、
小学校低学年に身につけた骨太の漢字力
漢字学習時に出会ったわからない語彙は、きちんと辞書を引いて短文作り
が効いたのかな、と彼女の漢検の回答を見ながら思っていた。
漢検の本番の結果はまだ出ていないけれど、私の中ではもう「合格」なので、「さあ、次は6年生!まずは読みから!」と、恒例の学年初めのリズム音読をやり始めた。
1年生からずっとやっている小野ふじ子先生のリズム音読教則本。(興味がある方は、先生のブログへ! 学年ごとでも購入可 https://gakou.xyz/)
1、2年生の時は最初は良かったのだけど、音読みのあたりから知らない語彙が多すぎて、一回(10分)で一つ分を終わらせられず、半分に分けていた。
それが、なんと今は、同じ時間で4〜5つくらいできてしまう!
わからない語彙があっても、漢字から類推できている!
それで、つくづく思ったのが、漢字力というのは、正比例のグラフのように直線で伸びていくものではなく、
放物線のように、曲線で後半になるとググッと伸びてくるもの
ということ。
漢字のパーツの8割以上はすでに頭の中にあるので、形についてはあとは組み合わせるだけ。
部首や音記号など、漢字の仕組みを理解していれば、新しい漢字でも読み方や意味が予想できたりする。
そんな末っ子の様子を見ながら、私がやってあげられる漢字指導は、もう終わりかなと思った。
あとは、もう一息、漢字数を増やすために、継続的に漢字をインプットする環境を整えること。
でもこの段階になると、漢字とにらめっこしていてもあまり効果が出ない。
それこそ、読書や新聞を読んで、文脈の中で漢字と結びつけて語彙を習得しないといけないし、それがない漢字学習は、砂漠に水を注ぐようにやってもやっても定着しないだろうと思う。そうしたインプットの横で、作文の中で実際に使うことでしか本当の力はつかないと思う。
なので、私の研究の対象も、漢字からそろそろ「読書指導」「作文指導」へとシフトしていこうかなと思っている。
ミチムラ式漢字カードを導入したクラスの振り返り
さて、クラスのことも振り返っておきたい。
これまでもミチムラ式の考え方は授業で使ってきたし、ミチムラ式eブックは私の授業準備の大事な虎の巻だった。
ただ、今年大きく変えたのは、ドリルを思い切ってやめて、ミチムラ式カードを個人持ちにさせたこと。
意外にも、当初、子どもや保護者から不評だった。ドリルに慣れていたので、やり方を強制的に変えられたのが嫌だったのだろう。
それでも、ドリルの負の面もたくさん見てきた私は、今年はカードを使うと決めた以上、それがうまくいくように1年間授業を考えてきた。
私の独りよがりでもいけないので、学年の最後にアンケートをとることにした。メインの質問は、
「ドリルとミチムラ式カード、どちらが自分にとって覚えやすいか?」
結果、総数の3分の2の生徒が「ミチムラ式カード」と答え、残りは「どちらともいえない」が多く、「ドリル」と答えた子は数名にとどまった。
子どもたちは、
初めは面食らったけど、1年通してカードに慣れ、その良さを理解し、漢字学習に役立てられた
と感じてくれたようで、来年もまたミチムラ式カードをメイン教材として使うことにした。
その傍らで、「ドリルの方が覚えやすい」と答えた子どもたちもフォローできるように、細かく分析してみた。
「ドリルの方がいい」と答えた子に理由を尋ねたところ、
このやり方に慣れている
書いた方が覚える
ドリルの方が一画一画の書き順が書いてあってわかりやすい
漢字テストの勉強がしやすい
という意見があった。
「このやり方に慣れている」「書いた方が覚える」と答えた子に関しては、確かにこれまでのやり方でもできていた子どもたちなので、自分が好きな方法でやればいいのかなと思う。
ただ、「漢字テストの勉強がしやすい」というのは要注意だ。
ドリルには漢字テストが付録としてついてくるので、確かに教員もそれをテストすれば楽なのだけど、子どもがただ機械的にそれを覚え、短期記憶のみに頼っている状態であれば、テストでいい点数を取っていたとしても、あまり意味がない。
毎年学年の終わりに漢検をやらせてみると、
「え?普段の漢字テストはほぼ満点なのに、応用力が全くない?!」
と、足元をすくわれる思いをする子どもたちに毎年出会うからだ(涙)。
「ドリルの方が一画一画の書き順が書いてあってわかりやすい」という意見には、なるほどなぁと思った。
そもそもミチムラ式は「一画一画見て書いていたら、効率が悪いし、いつまで経っても覚えられない」という考え方。
ただ、主に1、2年生の基本漢字をきちんと習得できていない子どもにとっては、確かにミチムラ式カードだけではきついんだろうなと思った。
このタイプの子どもたちのフォローアップを、来年度は考えないといけない。
さて、ここまでは子どもたちが主観的に感じた「漢字の覚えやすさ」だったけれど、学年末の漢検の過去問の結果から、もう少し分析してみたい。
ミチムラ式カードを導入したクラスは2つあるのだけど、実は、Aクラスは「ドリルの方がいい」と答えた子が若干多く、Bクラスは一人を除いて「カードの方がいい」と答えた子が多かった。
そして、漢検の結果を見ると、
Aクラス → 去年と変わらない
Bクラス → 去年は担当していなかったが、学年初めからは考えられない好成績
この結果をどう考えればいいのか。
少なくとも、今年やり方を変えたことでマイナスにはならなかったことにはホッとした。
Aクラスは、基本的にとてもよくできる子どもたちが集まっているクラス。
なので、やり方を変えても特に大きな変化は得られなかった。
より伸ばそうと思ったら、漢字どうこうというより、読書や作文指導をもっと工夫すべきだったのかもしれない。
Bクラスは、当初、「漢字嫌い!」「やってもやっても…」という子どもたちが多かったクラス。
中学年でこうなっているクラスにミチムラ式を導入したのは、本当に良かったと思う。
少なくとも、「他のやり方がある」「うまくいかなければ別の方法を試せばいい」「漢字はやればできる!」というふうに子どもたちを導けたのではないかと思う。