「今の自分のフランス語と英語レベルまで日本語ができるようになりたいんだよね。」
今朝、珍しく早く起きてきた息子が言った。
待ってましたーーー!!!この日を。と、心の中ではウルウルしていたけど、冷静を装う私。
18歳の息子のこれまでの日本語学習歴
息子のこれまでの日本語学習歴を簡単に書くと。
2歳から6歳までは日本に住んでいて、金沢弁バリバリでフランス語はほとんど話せなかったけれど、その後は、フランスに戻り、アメリカに行き、その間の6年間は現地の日本語補習校に通い、日本語力を伸ばした。小6の時に日本に戻ってきたけれど、その時は、漢字が大嫌いで、私も本人も頑張ったけど、中2の時に、
自分はIT系に興味があるから、英語の力をもっと伸ばしたい
という理由で、日本語は一旦おやすみして、英語の学習にシフトした。通っている東京国際フランス学園ではSIA という英語とフランス語のイマージョンコースを選択した。
日本語を学校では全く勉強しなくなった息子は、大学受験にあたり、日本語能力を客観的に証明するために、日本語能力試験1級を受け、合格までいっている。
この辺りの経緯は、興味があれば過去のこの記事をどうぞ。
本人が感じている物足りなさ
その息子、大学に入ってからの第二外国語をどうしようかなと考えていて、今朝の話になった。
高校では英語の他に、スペイン語をやっていたので、スペイン語をやるのが必然な気もするけど、本人はあまり気が進まないらしい。
日本語を履修してブラッシュアップするか、1から中国語を学ぶか、迷っていた。
「日本語で何をしたいかによると思うんだけど・・・」という私の質問に、
冒頭の発言に続き、
「今、お母さんとこういう風に話していても、時事問題みたいなのの言葉、僕知らないじゃん。フランス語混ぜちゃっている。だから、同年代の人と日常的なことは日本語でも話せるけど、これだと、深い話とか自分が本当に言いたいこととか言えないし、相手も負担でしょ?だから、それができるようになりたい」
私の回答は、
「それだとしたら、大学で第二外国語として日本語をとっても目的を果たせない。だって、大学は外国語として初めて日本語を学ぶ人たちのための授業だから。退屈するよ。個人レッスンで、自分の興味がある分野の新聞や雑誌の記事を読むのがいいと思う。話し言葉を漢語で言ったらなんていうか、というのを意識して勉強して語彙を増やしたらいいと思う。漢字を小6までやっていて基本の漢字は学んでいるし、漢字の原理原則はわかっているから、それを意識して勉強したら、あっという間に語彙が増えるよ。」
「漢語・・・?そんなに簡単にいくかな?日本語、難しい言葉いっぱいあるじゃん」
「泳ぐことを水泳というでしょう?漢語ってそういうこと。漢字の知識がなかったら、およぐってスイエイっていうんだって、一対一対応で覚えていくしかないけど、漢字の知識があれば応用が効くんだよ。たとえば、水の深さのことなんて言う?」
「みず、スイ、ふかい、水深!」
「水に溺れて死んじゃうことは?」
「スイ、スイ 水死?」
「じゃあ、水没ってどういう意味だと思う?」
「没ってどういう漢字?」
「さんずい に るまた。殺すの右側、あれ、るまたって言って、手でやりみたいのを持っているのを表している。」
「こわ!水に殺される?うまっちゃう?」
なんという会話をしながら息子は、自分がすでに持っている漢字力とこれから鍛えるべき力を再認識できたようだ。
「それなら、自分でできそう。AI 使って」と言い出した。
ちなみに私が大学で第二外国語として取ることを勧めたのは、中国語。
中国語を勉強すれば、非漢字圏の他の学生より断然有利だろう。漢字を学ぶことにこだわった母の思いも伝わるかなー。
小学校高学年からの日本語目標設定、モチベーションを高める一つのヒント
うちの息子に限らず、読み書きができるバイリンガルを育てようと思うと、小学校高学年で一つの大きな山場を迎える。
息子はこんな風に一度完全に断絶する期間を経て、再び日本語の勉強に戻ろうとしているけど、各国の移民母語維持政策や外国語教育制度とうまく組み合わせて続ける方法を模索している人もいる。
6月、マルチリンガル漢字指導法研究会の定例会ではそんな中の一人、アメリカ在住の白石彩子さんが
「使うための漢字」学習
〜アメリカ高校のAP Japanese 試験から考える〜
2025年6月15日(日) 日本時間 22時から23時30分 zoomにて(動画視聴も可能)
というタイトルでアメリカのA Pというテストで測られる日本語能力について分析して発表してくださる予定。
今回は外部の方にも公開する予定なので、このブログ読者の方で興味がある方はぜひ!↓↓↓
マルチリンガル漢字指導法研究会申込フォームhttps://www.learnjapanonline.com/multilingual-kanji/