マルチリンガル漢字指導法研究会が2周年を迎えた。
海外で日本語を学ぶ子どもたちが日本語をやめてしまう一番の理由は、漢字。
「何とかできないか?」という同志が集まり、2年間、知恵を振り絞ってきた。
私たちが二年前、最初に目を付けたのは、今日紹介する
唱えて覚える漢字指導法のミチムラ式。
ただ、いろいろな理由で長らく、うまく活用できずにいた。
それが、この教材の開発者の道村静江先生と息子さんのかんじクラウドの代表取締役の友晴さんが、この2年の間に、私たちのボヤキを聞き入れつつ?ミチムラ式教材を進化させてくださった。
今度こそ、使いこなせる!
これまで、ミチムラ式、気になりつつ、使いこなせていなかったという方に、もう一度手に取ってほしい!という思いで書きたい。
(そもそも、ミチムラ式を知らない方は、ミチムラ式販売元のかんじクラウドのHPからどうぞ)
目次
なぜ、2年前は使いこなせなかったのか。
① 唱える部品の名前が難しすぎる
ミチムラ式は、例えば、「強」という字であれば、「ゆみへん」「ム」「むし」という風に、一画一画の線ではなく、塊(部品)で見て唱え、頭で形を想像できるようにする方法だ。このことでひたすら書いて覚える苦行から子どもたちを解放する。
ところが、海外育ちに子どもたちには、この部品の名前がすっと入っていかない。「ゆみへん」「ほこがまえ」と言われても、「ゆみ」「ほこ」というものが、頭にさっと思い浮かばないので、なんだか余計なものをもっと覚えさせられるというふうになってしまった。
その上、指導者の方もまずは「部品を徹底的に覚えるところから」と思ってしまい、苦しくなってしまったように思う。
② 唱える「漢字のタイトル」の語彙が難しすぎる
ミチムラ式のもう一つの特徴は、「漢字のタイトル」。
一つ一つの漢字にタイトルがついている。
上記の「強」であれば、「勉強のキョウ、つよ-い」というタイトルがある。
漢字の形を習うと同時に、「読み」の習得をめざす。「読み」で難しいのは、日常生活で使われない「音読み」である。
そこで、日本人に親密度の高い「漢語」とセットにして覚えることを目指す。
これは、高学年で必ずぶつかる、同音異義語の壁への布石となる。
この「音読み」をマスターすることは、正直漢字の「形」を覚えることと比にならないくらい、日本語を使いこなすためには重要、かつ難しい。
ところが、海外で学ぶ子どもにとっては、この言葉がすこぶる難しい。
新しい字が出てきて、そして、それが使われる言葉を出されてもその言葉も知らないので、余計ちんぷんかんぷん。
それを言葉で説明すればするほど、子どもたちは退屈して遠のいていた。
③ 道村先生ほどのバック知識がない
ミチムラ式のカード自体は、ユニバーサルデザインを目指しているので、すごくシンプルなものだ。それを彩り、その奥の漢字の楽しさの世界に導かない限りは、やっぱり漢字学習は単調なものになってしまう。
道村先生には、「教える人が楽しみなさい!子どもと一緒になって調べたり考えたりしなさい!」と発破をかけられるものの、マルチリンガル育児、子どももそうだけど親もすでに目一杯頑張っていて、時間がない。結局、ミチムラ式は道村先生ほどの知識とセットで成り立つもの…いつか時間をとって知識を磨こうと思いつつ、時間ばかりが過ぎていった。
④ 検索ができない
アナログカードは、番号が書いてある。その番号と表をたどれば、お目当ての漢字カードを見つけることはできた。
でも、例によって指導者も子どもも時間がない。なかなかそこまではというのが、本音。
しかも、海外で学ぶ子どもたちは必ずしも教科書に沿って学んでいないので、教科書に準拠して整理されたミチムラ式の仕組みが却って使いにくいということも。
⑤クラスで人数分のカードを用意するのは難
郵送費や時間を考えると、ちょっと試しに!と気軽に手を出しにくかったのも事実。
まして、クラス全体で個人持ちさせるために、用意するのはなかなかにハードルが高かった。
ところが、これらの問題のほぼすべてが新しいミチムラ式教材は解決してくれた!
ということで、これらの理由でうまく使いこなせていなかった海外在住の皆様には、ぜひ、もう一度手に取ってほしい!
新しくなったミチムラ式。
2020年4月と今年とに大きく3つの教材が発売されている。
- 新ミチムラ式カード
- 漢字eブックonline(学習システム)
- 漢字eブック
である。
私は、すでに2020年度版カードを持っているが、
-
- 我が子用に、漢字eブック(東京書籍版が出たら!)
- 授業用に、漢字eブックonline(学習システム)
を購入予定。
販売元のサイトが各教材の詳細をとても分かりやすく説明しているので、以下のリンクに飛んで、ぜひ読んでもらいたい。
【カードについて】
【漢字eブックについて】
【漢字eブックonlineについて】
- 販売 現在調整中。
漢字eブックonlineについては、まだ未完成ということで、現在は新規販売は中止中。来年度に向けて準備中だそう。(2021.4.20現在)
漢字eブックについては、ジャンプ機能などの高度な動きに対応しているのが、アップル社のみだったので、これまでアップル以外では使えなかったのだけれど、アンドロイド系やwindowsに対応するために、「単元別版」が先週販売開始。しかもはじめの一単元は各学年無料!
デジタル版ミチムラ式ここがイイ!
① 豊富なイラスト!
百聞は一見に如かず。
子どもたちが、ん?となりそうな言葉には写真が添えられている。
これで、難しい語彙もすっと入っていくこと間違いなし。
漢字と語彙とイメージが結び付き、まさしく、漢字学習が語彙を増やすことにつながる!
② 唱えずにはいられない音声付き!
男性の声優さんの声で、唱え文句がすべての漢字に入っている。
海外育ちの子供たちにとって、
正しい発音
男性の発音
を聞く機会は限られているのでありがたい。
それに、「リズムよく唱えて」と言われても…という人も少なからずいただろう。
でも、この教材、「せえの!」の掛け声をもとに、子どもも大人もなんか乗せられて言ってしまう魔力がある(笑)
さすが、プロの声優さん!
③ デジタルならではのサクサク検索
教科書別、50音順の索引がついているほか、部品のページもあって、その部品の意味や使われているページに、これまたタッチ一つで飛んでいける!
簡単だから、無理に覚えさせようとしないで、時々、忘れていたらそこに飛んで、部品の名前を復習したり、意味を確認したりできる。
④ 道村先生の経験と知識が詰まった解説
私はこれを一番重宝している。
- こんな小話したらいいよ。
- こんなところをよく間違えるよ。
- ここを忘れず押さえてね。
というところを道村先生の長年の経験を踏まえて、書き下ろしてくださっている。
毎回、授業の前に予習することで、私も賢くなるし(笑)、子どもたちに適切なサポートしてあげられているという実感がある。
子どもたちもこれまで漢字字典でしか調べられなかったことがタッチ一つで読めて、楽しくなること間違いなし!
この記事、もう少し写真をつけて説明したいのだけど、早く紹介したくて、取り急ぎ~
正直、まだまだ使いこなせていない機能もあるので、また、いろいろ試して、シェアしたい。