マルチリンガル漢字指導法研究会、11月の定例会は、新しいメンバーであり、実はこの研究会発足の種をまいてくださった方でもあるアメリカ在住の白石彩子さんが発表してくださった。
この研究会の初期のメンバーと同じく、ミチムラ式をうまく活用して漢字を「楽しく、効率的に」学ばせることができないかと考えて、3年前からミチムラ式を使っている方でもある。今は、友達のお母さんという立場で、自分のお子さんと日本語教室に通う他のお子さん数名集めて、毎日夜のお休み前に30分ほど、ミチムラ式ebookを使って、「ほっこり漢字カフェ」をやってらっしゃる。詳しい様子は、ご本人がブログにしているのでそちらを!
お絵かきしながら漢字を学ぶ「漢字」カフェ https://kanjicafe.blog.jp/
それしても、この定例会には、旅行先にもかかわらず、開発者の道村先生も参加してくださり、コメントをいただくことができるという、大変ぜいたくな定例会だった。ここで、私の学びを書き残していきたいと思う。
目次
1、共感の大切さ
「大変だよね」「よく頑張ってるよね」「線がたくさんあって覚えにくいよね」という言葉を彩子さんは積極的にかけてあげる。これだけで、子どもは安心して、漢字学習に臨めるという話。
彩子さんに限らず、この研究会に集まってくださっているメンバーの皆様は、よくこの事について指摘されるんだけれども、毎回思うのだけど、これが私にはほんとに足りない。特に自分の子どもに対しては、滅多にしない。彩子さんの話を聞きながら、ああそうかと思ったのは、彩子さんはご自身が帰国子女で、漢字の学習にすごく苦労されたので、その辛さがよくわかるから。やはり、私は、日本生まれ日本育ちなので、なかなかそこでそのわからなさ具合を本当の意味でわかってあげれないのだと思う。気をつけないとと思った。
あともう一つは、どこかでやっぱり、なんだかんだ言ってこの子達は恵まれていると思っている。困難さを抱えた学区の公立学校や盲学校で教えた経験がある私にとって、どうしても「全ての条件が揃っているのだから、あとはやるだけ」とつい思ってしまうのだ・・・。「勉強どころでない家庭環境の子」「一つの字を見るのにも書くのにも何倍もの労力が必要だった弱視の子」そういう子どもたちのことをつい考えて、言ってしまう。
私の結論は、指導者としては、それでもいいのだけど、親としてはもっと共感した方がいい!できるかな(笑)そういう意味で、彩子さんの「友達のママ」的な立場で自分の子どもも教えるのは、自分の子どもにとってもいいなと思った。
2、インプットもアウトプットも学びの多様性を認める、生かす
インプットする時、視覚優位の子、聴覚優位の子、動作を取り入れるといい子など、人には「習得の癖」みたいなものがあることはよく知られている。教師は無意識に自分の得意な方法でやってしまうけれども、いろいろなバリエーションを取り入れて、子どもが好きな方法を選択しながら漢字を学べるようにしていくという視点がとても大事だなと発表を聞きながら改めて思った。これ、アウトプットも然り。ルーティーンでドリルみたいなのをやっていくことが落ち着いて学べる子もいるだろうし、どんどん目先を変えてあげないと飽きてしまう子もいる。その子に合った方法を認め、生かすことが大事!
3、漢字の発達段階によってebookの使い方を変える
「低学年のうちは、全部網羅しようと思わないで、この漢字ebookを教師の「虎の巻」と思って、面白いと思ったところ、目の前の子どもにこれはヒットすると思ったことをとにかく面白おかしくやって見せて、漢字って面白いと思わせる」
道村先生が最後のコメントでこうおっしゃって、はっとした。ついつい、小学校2年生の娘にも、「自分1人で備えられている機能を全て使ってほしい」と思いがちだったけれども、そうだよなぁと思った。中学年高学年になって、少しずつ自分で使いこなせていければ充分なわけだ。全部網羅させようと思うと結果的に量が多くなりすぎて、時間も気持ちもいっぱいいっぱいになってしまう。親や教師が面白いって思ったことを話してあげればいいんだと思ったら、気が楽になった。あとは、メンバーの話にもあったけど、色々な機能や情報を与えすぎるとかえって「お腹いっぱい感」を与えてしまってよくない。この辺の匙加減がこの素晴らしい教材を使いこなすコツなんだと思う。
それから、「中学年からは、もっと「知的に楽しいこと」に気づかせ、「音つながり」「部首つながり」「ストーリーで漢字を覚える」など、自学自習にebookを使って欲しい」
という道村先生の話にもなるほどなと思った。これが、正しくこの研究会で極めたい、子どもたちに伝えたい「漢字の原理原則」の部分だと思うので、これから深く掘り下げていきたい。ワクワクする!
いやいや、今回の記事、読み返してみると、もうすでによくよくわかっていたことのような気がしてくるのだけれども、目の前に子どもがいて教えているとついつい忘れがちなことだなぁと改めて。こんなふうに気づきをもたらしてくれる仲間がいることに改めて感謝したのだった。
こんな研究会に興味がある方は、ぜひこちらから。過去の動画も販売していますし、単発の参加もできます!
マルチリンガル漢字指導法研究会
https://www.learnjapanonline.com/multilingual-kanji/