by kaori horike
前回のブログ記事で、「継承語としての漢字学習者の目指すところ」について、長期的な視点をまとめてみた。当たり前だけれども、いつもはそんなこと考えてるわけではない。いつもは、もっと、短い目標を設定して、その具体的なインプットの方法を探しに奔走している。
インストラクショナルデザインの両方を用いて漢字学習をサポートしようとしている研究会メンバーの彼女も、当然のことながら彼女の思い描く自律した学習者を育てるために、具体的な方法を模索中だった。
いろいろと効果的だと思われるインプットの方法(道村式漢字指導法や漢字リズム音読)などをいろいろ試したけれど、思うように覚えていないので、今度はアウトプットの方法を工夫しようとしているように見えた。
ちょうど私も、3年半にわたる研究会での学びや私自身の実践の繰り返しの末たどり着いたのがこの
アウトプットの工夫
だったので、これまで付かず離れず、共に漢字について学んできた彼女と同じ方向性ではないかとなんだか勇気づけられた。
目次
これまでの補習校などで、アウトプットのオーソドックスな方法は「漢字テスト」だった。たくさんの生徒を短期間で目に見えやすい方法として漢字テストはとても便利な方法だ。必ずしも漢字テストが悪いと思っていないけれども、短期記憶に頼り、結果的に時間が経つと全て忘れてしまっていたり、テストでは、点が取れていても実用の場面で漢字を使用しなかったりといったジレンマがあった。
彼女が考えたのは、簡単に使えるプログラミングのアプリを使って、学んだ漢字でゲームを作って、他の人にそれを評価してもらうという方法。これは、流行のプログラミングの技術も身に付くし、何よりも他の人にやってもらいその評価をもらうというのは、子どもたちのモチベーションにもつながると思うのでとても良い試みだと思う。この結果をいつかマルチリンガル漢字指導法研究会で発表してくれるのを密かに期待している。
今度の定例会で発表してくれる予定のオランダのネッパー絵見さんは、習った漢字を「ごっこ遊び」や「係活動」で使うこと、できるだけ日本に一時帰国した時に使える場面設定を工夫しようとしている。継承語教室では、こんな方法がとても有効なはず!是非とも勉強させてもらいたい。
私はと言うと、
漢字リズム音読作りというアウトプット
を考えて、9月から受け持つ子供たちのために1年間指導計画を練っているところ。これまで、道村式も小野ふじ子先生の漢字リズム音読も「効率的な効果的なインプットの手段」として狭義に捉えていたけれども、最終的には自分で漢字リズム音読の文を作るということに中期目標を設定して、これらのインプットの方法を教えるところから始めようと思っている。
2年間、道村式もリズム音読も「使う」ことに精一杯だったけど、ようやく、「使いこなす」ステージに入った気が?!
一年間計画で、まずは、道村式やリズム音読のエキスをインプットするところから。インプットの仕方もこれまでの「立板に水」状態から脱して「子供の文脈に極力沿ったインプット」「アウトプットを前提としたインプット」を考えて模索中。
めちゃくちゃ準備に時間がかかっているけど、楽しい!!子どもたちをこの境地に導くのが私のこの一年の目標!
この3ヶ月くらいずっと、ぐるぐると同じところを回ってああでもないこうでもないと考えあぐねていたのだけど、この夏休み、定例会以外でもマルチリンガル漢字指導法研究会のみんなと交流できたことがインスピレーションを生んでくれた。夏の忙しいところ、時間を割いて会ってくださった皆さん、今の自分の思いや取り組みをシェアしてくださった皆さんに改めて感謝!