フランス帰省中、昔のフランス人のママ友に何年ぶりかに会った。彼女は、フランスで小学校の先生をしていたが、育休中に、フランス語を外国語として教える資格(FLE)を取得、国境挟んで反対側のスイスのインターナショナルスクールに転職した。
フランス語と英語のバイリンガルを謳うこの学校、現実はどうなのかなぁと前々から気になっていたので、その話を聞いてみた。
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英仏バイリンガル育成の実態
結論から言うと、英語がかなり強く、フランス語は聞いてわかるけれども、発話は難しいという話だ。たいていの子どもは、フランス語で話されて意味は理解するけれども、返す言葉は英語とのこと。
彼女は、苦笑しながら、「我が家のように、両親がフランス人で家ではフランス語、母親が教師であってすら、フランス語の読み書きの能力はかなり低いというのが現実よ」と教えてくれた。
「時々、保護者から、いつになったらフランス語話せるようになりますか?と聞かれるけれども、フランス語が話せるようになりたかったらフランスの学校に入れた方が良いとしか答えられない」とのこと。
なぜ、英仏バイリンガル育成が難しいか
この学校ではいわゆるイマージョン方式で、一年の半分を子どもたちは、すべての教科をフランス語で、もう半分を英語で受けている。ちなみにカリキュラムは、どの国のものでもなく、最終的にを取得するべく独自のカリキュラムが作られているとの事。
半年の間徹底的に1つの言語を使うのであれば、バイリンガルが実現しそうな気もするが、現実はそう甘くないとの事。教科の内容は英語混じりで説明せざるを得ないし、フランス語で話しているのは、教師だけで、子どもたち同士はどうしても英語になるらしい。
「もし、本当にフランス語をもう少し伸ばしたければ、一年間を半分半分に割り振るのではなくてフランス語の期間を長くしないと無理だ」と彼女は言う。その理由は、
- ほとんどの家庭は英語で話しているので、フランス語学習期間であっても、子供たちは英語から離れられない。
- フランス語の方が言語的に難しい。特に読み書きは文法などをしっかり学ばない限り、その後積み重なっていかない。
- 英語の授業は基本的にオーラルで展開されていくが、フランス語は、やはり古典的に書いて読んでという積み重ねがないとなかなか積み上がっていかない。
- フランス語は読み書きの間違いに対して、非常に不寛容であることが、子どもたちがフランス語を進んで読み書きする事の弊害となる。
なるほどなぁと思った。改めてどうして英語が世界言語になったか、よくわかった気がした。
日仏バイリンガルを目指す私としては。
この話を聞いて、英仏でそれだけ難しいのであれば、日仏の読み書きを目指す私たちって、相当無謀なことをしようとしているのかもしれないと思ってしまった。日仏の方が、英仏に比べて言語間距離は大幅に遠いし、その上フランス語と同じように日本語の読み書きに関しては、相当不寛容だから。
でも、だからこそ日仏両言語で読み書きができるという事はとても価値があることと言えるかな。
完璧という事はありえないということを肝に銘じて、どの段階まで目指すのか、今どこにいるのか、羅針盤を持ちながら進んでいくしかないのかな。